《カナル24》 中勢モデル波動と小波動の姿

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HP「最近の日経平均の動き−《カナル24》は語る」でよく述べる中勢のモデル波動と小波動の姿についてまとめました。


[1] 中勢波動のモデル



中勢波動は3か月〜12か月続くトレンドをいいます。3か月〜12か月というのはその範囲がぼんやりしすぎていますが、大勢上昇波動が強くないときは、ここに含まれる中勢上昇波動も短期(3か月〜6か月か)で上昇幅も小さくなり、大勢上昇波動が強いときは、ここに含まれる中勢上昇波動は長期(6か月〜12か月)で上昇幅も大幅になります。


中勢波動のモデルは図のようなものです。25日平均線と75日平均線とのからみで説明すれば、
  1. Aの底値から75日線の水準であるBまで反発するが、
  2. Cまで反落して2番底となる。
  3. Cからの上昇で75日線を上抜きDに至るが、
  4. 75日線の水準のEまで反落する。
  5. Eから上昇幅を広げて上昇しFに至り、25日線の水準のGまで反落する。
  6. Gから楽観人気となって、短期間に最大の上昇幅となってピークのHにいたる。
ここまでが中勢の上昇波動の流れです。これは図の左半分の部分です。

その後中勢波動は図の右半分のようになる(H→Aへ下落)のかというと、そうではなく、H→I→J→Kまでの下落で止まります。Kは中勢上昇波動のスタートのAになり、Lはスタート直後のBになります。すなわちK(つまりはA)をスタートとして第2回目の中勢上昇波動が始まります。

このことを図にしたものが、右図です。
  1. 左端のAから中勢上昇波動がスタートし、A→B→Cから75日線を上回り、D→E→F→G→Hの小波動を重ねて中勢第1段の上昇波動が完成します。その後はH→I→J→Kと反落し、75日線を割り込みますが、Kから中勢第2段目の上昇波動が開始します。

  2. Kからの第2回目の上昇波動も、第1回目の波動と同じように75日線を上回ってからD→E→F→G→Hへと達し、中勢第2段の上昇波動が完成します。

  3. その後も第1回目の波動と同じように、H→I→J→Kと反落し、75日線を割り込みます。ただし、Kから第3回目の中勢上昇波動が始まるかどうかはわかりません。

  4. 第3回目の中勢上昇波動がスタートできなかったときは、上図のモデル波動の右半分のようになります。すなわち、H→I→J→K→L→M→N→Aへと下げていくわけです。Kから反転せずにL→Mとなったときには、3つの中勢上昇波動を支えてきた大勢上昇波動も終りとなります。(端的にはこのとき株価が200日線を割り込む)

大勢波動が下降中のときの中勢波動は惨めです。例えば図の1へいたる下降波動(H→I→J→K→L→M→A)の動きを見て下さい。J→Kの下落途中で75日線を割り込みKまで下落し、(K→L)へと75日線まで戻るところまでは同じです。しかし(L→M)の反落で、MはKを下抜いて(K→M)が切り下がります。

Mでも大底にはなりません。(M→N)へ反発するが、Nは25日線の水準でしかありません。(75日線までの反発力は失せている)。結局(N→A)へ再下落し、こここが大底になるかどうかです。

大底のAが確定しても、その後の中勢上昇波動は短いものになります。図では(A→B→C→D)までが上昇の限度であるとしていますが、(D→E→F)まで伸びることもあります。としても大勢波動が上昇トレンドであったときの(A→B→C→D→E→F→G→H)といったように4回以上のピークの切り上げはありません。通常は(B→D)の1回、多くて(B→D→F)の2回までです。

このように中勢波動が下降トレンド入りしたといっても、大勢波動が上昇中の時と下降中のときとでは、その後の中勢波動の動きはまるで違います。

大勢波動が上昇中であれば、(K)を見つければそれが最もすばらしい買い場になりますが、大勢波動が下降中のときにKを見つけても、それは(K→L)への反動高をとることができるにすぎません。モタモタしていると、(L→M)へ再下落が始まり、Kを下回る株価水準に陥ります。


[2] 大勢波動と中勢波動とトレンド転換の関係



株式相場は、経済状態を反映したものです。というよりも経済状態を予想して株式相場が変動します。経済状態は循環しますが、最も短期の循環は「景気循環」です。次図は「CI指数(コンポジット・インデックス)」ですが、白色部分が景気拡張期(好況)で、薄青色部分が景気後退期(不況)です。

白色の景気拡張期は波動でいう「大勢上昇波動」に対応し、薄青色の景気後退期は「大勢下降波動」に対応します。大勢波動は景気のスケールに依存するので、あるときは短期間であったり、今回のように長期間持続したりします。

次図は、大勢波動と中勢波動のモデルです。(A→B)が景気拡張期に対応する「大勢上昇波動」です。大勢波動のなかには3つ程度の中勢波動が含まれます。大勢上昇波動は(A)からスタートし、
  1. (A→A1)の中勢上昇波動(第1段)があり、(A1→b1)の中勢下降波動があります。
  2. (b1→A2)の中勢上昇波動(第2段)があり、(A2→b2)の中勢下降波動があります。
  3. (b2→A3)の中勢上昇波動(第3段)があり、(A3→B1)の中勢下降波動があります。
  4. 景気拡張期のスケールが大きいときは(第4段)の中勢波動が加わったり、スケールが小さいときは(第2段)で終わることもあります。

(B→C)が景気後退期に対応する「大勢下降波動」です。大勢下降波動は(B)からスタートし、
  1. (A3→B1)の中勢下降波動(第1段)があり、(B1→a1)の中勢上昇波動があります。
  2. (a1→B2)の中勢下降波動(第2段)があり、(B2→a2)の中勢上昇波動があります。
  3. (a2→B3)の中勢下降波動(第3段)があり、(B3→a3)の中勢上昇波動があります。
  4. 景気後退期のスケールが大きいときは(第4段)の中勢波動が加わったり、スケールが小さいときは(第2段)で終わることもあります。


上図の赤○は中勢上昇トレンドに転換した日であり、青○は中勢下降トレンドに転換した日です。ただしトレンドの確定した日がすなわち売買のタイミングではありません。上昇トレンドにあるときは株式を買ってよい時期であり、下降トレンドにあるときは株式を買ってはならない(売るべき)時期です。 これを大原則として、トレンドに逆らわない売買と売買のタイミングを計るのですが、それには
  1. モデル波動を定規とする。(講座 [3] 利を伸ばすには を参考)
  2. 小波動のピーク・ボトムをいち早く予想する。(講座 [2]小波動のピーク・ボトムの判断のしかたを参考)
ことが必要です。


[3] ピークとボトムの位置関係




中勢上昇波動(図の左半分の部分)においては今回の小波動のボトムは先のピークで止まります。
  1. E点は先のピークBと同じ水準で下げ止まっていますが、これが標準です。もしEがBより下まで下落したならば、この中勢上昇波動は弱いと思わねばなりません。

  2. G点は先のピークDよりも上位の水準で下げとまっています。これはわずかの下げをみて、早めの買いが入ったのだから強い波動です。

    DよりもGが高い位置にあるとき「波動に窓があいた」といいます。たいていこの後は急上昇をして中勢上昇波動の天井になりますが、G→Hの上昇を2度3度重ねることもあります。
中勢下降波動(図の右半分の部分)でも同じことがいえます。
  1. L点は先のボトムIと同じ水準で戻りが一杯になっていますが、これが標準です。もしLがIより下までしか戻らないならば、この中勢下降波動は弱いと思わねばなりません。

  2. N点は先のボトムKよりも下の水準までしか戻っていません。これはわずかの戻りをみて、早めの売り入ったのだから弱い波動です。

  3. B点は先のボトムMよりも上の水準まで戻りました。これは、この水準では売り物がなくなっていることを表わしています。底うちしているか底値が近いことが予想できます。


[4] 波動の大きさの関係




小勢波動の大きさ(上昇幅・下落幅)のイメージは、図のようになります。
  1. A→Bが 100円の上昇をしたとすると、
  2. C→Dは 120円、
  3. E→Fは 150円、
  4. G→Hは 200円
のように中勢上昇波動においては上昇幅はしだいに大きくなっていくのが普通です。

中勢下降波動では、小勢波動の下げ幅ははっきりしたものはありません。ただ下落スタート時の小勢波動の大きさと同じ幅の下落をして底うちすることがままあります。


[5] 押しと戻りの関係




小勢波動が先の小波動に比べてどの程度の反動をしたかを知ることは大切です。動の幅を 100とすると、反動の幅はその半分の50になるのが標準です。

上昇波動(図の左半分)では、
  1. A→Bの上昇幅に対して、B→Cの下落幅は2/3 あります。(A→Bが100円上昇したとき、B→Cはその2/3の67円下げるということ)
    これは、将来の株価上昇に懐疑的な者が多く、売り圧力が大きく少し戻ればどっと戻り待ちの売り物がでるためです。

  2. C→D上昇幅に対して、D→C下落幅は 1/2になっています。(C→Dが120円上昇したとき、D→Eはその1/2の60円下げるということ)
    上げ幅の半分だけ下げるので「半値押し」と呼ばれ、順調に上昇している証しです。

  3. E→Fの上昇幅に対して、F→Gの下落幅は 1/3になっています。(E→Fが150円上昇したとき、F→Gはその1/3の50円下げるということ)
    このように浅い押しになるのは、多くの者が将来の株価上昇に楽観的になり、半値押しを待ちきれずに買われるからです。
下降波動(図の右半分)では、
  1. H→Iの下落幅に対して、I→Jの戻りは2/3〜1/2になります。(H→Iが120円下落したとき、I→Jはその2/3の80円あるいは1/2の60円上げるということ)
    これは、それまで順調にA→Hへ上昇してきていたので、H→Iの下げは「押し目」であると思い、なお強気の買い手が多くあるからです。
  2. J→Kの下落幅に対して、K→Lの戻りは1/2になります。(J→Kが100円下落したとき、K→Lはその1/2の50円上げるということ)
    これは下げ波動において標準的な戻りです。

    もしK→LがJ→Kの下げの1/3しか戻らないときは、この下降波動は相当に下げると思ってよいのです。

  3. L→Mの下落幅に対して、M→Nの戻りは1/2〜1/3になります。(L→Mが120円下落したとき、M→Nはその1/2の50円ないしは1/3の40円上げるということ)
    これは下げ波動になると、株価が下げ続けていますから、安い株価に慣れてしまい、わずかの戻りがあれば損切りしてでも買い玉を手仕舞おうという気になるからです。


[6] 中勢波動の心理状態




相場に対する心理状態は上昇波動では特に顕著に表れます。図のA→H→Aの局面で、投資家はどのような心理状態になっているのでしょうか。
  1. N→Aの過程では、株式の保有者は株価はこの先下がることはあっても上がることはない。と思っており、株価の将来に対して悲観の極みにあります。

  2. しかし保有していない者の一部には割安感がでており、買って見ると株価は意外にもスルスルと上昇しますが、A→Hの長い下げに慣れているために、買い手自体がそんなに上昇するはずがないと懐疑的です。

    保有者はAの水準で売ろうとしていたところ望外に株価が上昇してきたので、いま売却しておかねば再びA以下の株価になるのではないか。と戻り売りがどっとでてきます。 このためB→Cの下げ幅は深くなります。

  3. Cから上昇を始めると、Aは大底であったのではないかの観測がでてき、さらに75日線を上抜いてくると、株価上昇に対する自信がでてきます。D→Eの反落では「押し目買い」の方針をとるようになります。

  4. E→Fでは株価の上昇トレンドはいよいよ確かなものになり、株価が少しでも安くなったら買おうという非保有者が増加します。F→Gへ下げる過程では、非保有者の買いが早め早めに入り、下げ幅は小さいものになります。

  5. G→Hはこの銘柄について好いことばかりを考え、この株の将来に何の懸念ももたなくなり、楽観の中でピークに近づいえていきます。

    H→Iの下げでは、A→Hの長い上昇期間と高い株価水準に慣れているので、Iの株価は非常に割安のように思われます。そこでI→Jへの反発になりますが、Hのピーク近くで買ったもののうち短期売買の方針の保有者が諦めて売ってくるため、Hを上抜くことなく再反落となります。

  6. J→Kの過程で75日線を割り込むと下げの確信が生まれ、Lで75日線を上抜かずして下落すると株価はっきりと下降トレンドになったことが確信されます。

  7. あとはAになるまでは悲観が大きくなるばかりです。


[7] 日経平均の小波動の姿



(表1)小波動の姿(全体)
全体 値幅 変動率 日数
下降波動 -1262.0円

SD(831.5)
最大 -4990円
最小  -250円
-8.67%

SD(4.94)
最大 -25.02%
最小  -2.14%
11.5日

SD(8.8)
最長 42日
最短  1日
上昇波動 1227.5円

SD(647.6)
最大 +3430円
最小  +400円
+9.52%

SD(4.99)
最大 +27.49%
最小  +2.63%
12.3日

SD(9.4)
最長 55日
最短 2日
  1. 下降波動の値幅(-1262.0円)と上昇波動の値幅(+1227.5円)はほぼ同じです。ひと波動でだいたい1200円あると思っていればよい。

  2. 変動率は、下降波動の下落率が-8.67%に対して上昇波動の上昇率が+9.52%とあります。約10%ほど数字が大きくなっていますが、これは下落率の計算式が(ボトム÷ピーク)なので、常に小さい値(ボトムの株価)を大きい値(ピークの株価)で割っているからです。

    上昇率の計算式は(ピーク÷ボトム)なので、常に大きい値を小さい値で割っています。ために数字は大きくなります。例えばピーク(H1)の株価が10000円で、ボトム(L1)の株価が9133円であるときの下落率は (9133-10000)÷10000×100=-8.67%と計算されますが、逆に(L1)の9133円からピーク(H1)を振り返ったときは、(10000-9133)÷9133×100=+9.49%になります。これは上昇率の平均の+9.52%とほぼ同じです。ボトムから見たときピークは上昇波動・下降波動のどちらも+9.5%ほどであると思ってよい。

  3. 下降波動の日数は11.5日です。これはピークの翌日から11.5日目にボトムがあるという意味です。ピークの日も含めるなら1日加えて12.5日になります。

    上昇波動の日数は12.3日なので下降波動よりも1日弱長くなります。上昇波動・下降波動ともにその値幅は同じなので、下降波動は短期間に急角度で下げるといえます。としてもだいたいピーク(ボトム)の翌日から12日目あたりにボトム(ピーク)を出すと思っていればよい。

さらに下降トレンドにあるときの小波動の大きさの統計を掲げてます。

(表4)下降トレンドにおける小波動の姿
下降トレンド 値幅 変動率 日数
下降波動

75個
-1515.4円

SD(899.0)
最大 -4990円
最小  -380円
-10.36%

SD(5.10)
最大 -25.02%
最小  -3.42%
13.5日

SD(9.6)
最長 42日
最短  2日
上昇波動

45個
1130.2円

SD(501.3)
最大 +2530円
最小  +400円
+9.04%

SD(4.13)
最大 +22.29%
最小  +3.73%
9.1日

SD(6.6)
最長 33日
最短 2日
下降トレンドにおいては、次のようなことがわかります。
  1. 下降波動の値幅(-1515.4円)と上昇波動の値幅(+1130.2円)を比較すると、約1.34倍ほど下落幅が大きい。

  2. 下降波動の下落率が-10.36%に対して上昇波動の上昇率が+9.04%とあるのも下降波動のほうが大きいことを示している。(下落率-10.36%は、安値から高値を見た比率に換算すると-11.56%になる)

  3. 下降波動の日数は13.5日に対して、上昇波動は9.1日と下降のほうが上昇の日数の約1.5倍ほど長い。
どこから見ても下降トレンドにあるときは下降波動は上昇波動よりもスケールが大きい。したがって「下降トレンドにあるときは下降波動をとることを目標にする」のがよいことがわかります。


[8] 一般銘柄の小波動の姿



(表1)一般銘柄の小波動の姿(全体)
全体 変動率 日数
下降波動

22358個
-14.3%

SD    (8.2)
最大 -86.2%
最小  -2.0%
12.8日

SD  (10.1)
最長 138日
最短   1日
上昇波動

22358個
+17.7%

SD    (13.9)
最大 +316.7%
最小  +1.7%
12.5日

SD  (10.2)
最長 109日
最短   1日
日経平均採用225銘柄について、1997年4月〜2008年9月までの約11年半の小波動を調べると、
  1. 上昇波動と下降波動がそれぞれ22358個ありました(株価が100円未満のときは除いた)。

  2. 下降波動はピークから次のボトムまで-14.3%の下落をし、ピークの翌日からボトムの日まで平均して12.8日下げています。

  3. 上昇波動はボトムから次のピークまで+17.7%の上昇をし、ボトムの翌日からピークの日まで平均して12.5日上げています。
下降期間は12.8日、上昇期間は12.5日であるので、だいたい12〜13日が小波動の平均的な期間としてよいでしょう。SD(標準偏差)はどちらも10.1(10.2)であるので、多くの場合小波動は12日〜23日でピークとなりボトムとなると憶えておけばよいでしょう。


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