No.4 なぜ日経先物のトレードで勝てないのか?

2008年6月に執筆 ・・・・  講座目次へ.

先物市場はゼロサムゲームです。一方で1000億円の利益がでたなら、必ず他方に1000億円の損失が発生しています。投資家の人数でいえば、2000人が勝って8000人が損をだしている。勝った2000人でも、運で勝っていた人は翌年にはたちまち負け組に転落する。先物の売買で勝ち残っていくことは生半可なことでは難しい。

日経先物用の《リアル24》を使ってもナカナカ勝てないのは、使いかたが間違っているのではないか。あるいは工夫が足りないのではないか。 日経先物のトレードで勝てない原因を私なりに推測すると、以下のことかと思います。
  1. 日足ベースでの相場の局面を反映させていないのではないか?
  2. 売買マークが出たときだけ売買しているのではないか?
  3. 利食い幅をいつも固定しているのではないか?
  4. 利食い幅や損切り幅が小さすぎるのではないか?
  5. 建て玉はいつも1枚に限定しているのではないか?
  6. 複雑な条件表を使っているのではないか?
これらのことを、私が売買したものを例題にして説明したいと思っています。 まずは私の日経ミニの売買譜を掲げます。これが2008年5月2日〜6月20日までの50日間でした売買のすべてです。これ以外の売買はしていません。

No. 仕掛日 売買 株価 決済日 株価 損益 累計損益
1 08/05/02 売り 14040円 08/05/09 13840円 +200円 +200円
2 08/05/12 売り 13770円 08/05/12 13800円 -30円 +170円
3 08/05/13 売り 13970円 08/05/21 13850円 +120円 +290円
4 08/05/15 売り 14200円 08/05/22 13980円 +220円 +510円
5 08/05/22 売り 13885円 08/05/26 13780円 +105円 +615円
6 08/05/23 売り 14110円 08/05/23 14150円 -40円 +575円
7 08/05/27 売り 13910円 08/05/28 13800円 +110円 +685円
8 08/05/28 買い 13670円 08/05/28 13740円 +70円 +755円
9 08/05/29 売り 13940円 08/06/02 14360円 -420円 +335円
10 08/05/30 売り 14240円 08/06/10 14105円 +135円 +470円
11 08/06/02 売り 14440円 08/06/03 14240円 +200円 +670円
12 08/06/04 売り 14400円 08/06/04 14350円 +50円 +720円
13 08/06/04 売り 14410円 08/06/04 E 14285円 +125円 +845円
14 08/06/06 売り 14605円 08/06/06 14540円 +65円 +910円
15 08/06/06 売り 14560円 08/06/06 14510円 +50円 +960円
16 08/06/11 売り 14160円 08/06/11 14020円 +140円 +1100円
17 08/06/11 売り 14140円 08/06/12 13930円 +210円 +1310円
18 08/06/13 売り 13980円 08/06/13 E 13920円 +60円 +1370円
19 08/06/16 売り 14200円 08/06/19 14190円 +10円 +1380円
20 08/06/18 売り 14450円 08/06/18 14430円 +20円 +1400円
21 08/06/18 売り 14485円 08/06/18 14455円 +30円 +1430円
22 08/06/18 売り 14450円 08/06/18 14430円 +20円 +1450円
23 08/06/18 売り 14450円 08/06/18 E 14420円 +30円 +1480円
24 08/06/19 買い 14290円 08/06/19 14300円 +10円 +1490円
25 08/06/19 買い 14240円 08/06/19 14250円 +10円 +1500円
26 08/06/19 売り 14200円 08/06/19 14140円 +60円 +1560円
27 08/06/19 売り 14140円 08/06/20 14040円 +100円 +1660円
28 08/06/20 売り 14010円 08/06/20 13930円 +80円 +1740円
29 08/06/20 売り 13940円 08/06/20 13940円 0円 +1740円
合計 - - - - 25勝4敗 +1740円 手数料
-42円
売買譜を見るときの注意を書いておくと、
  1. 日経先物ミニを売買した。

  2. 通常は1枚を建玉するが、2枚建て玉している時期もある。

  3. 株価欄に(E)とあるのは夕場で手仕舞いしたもの。

  4. No.1〜15までは08年6月限を売買した。No.16以降は08年9月限を売買した。

  5. 損益は株価ベースで表示。実際の金額はミニなので100倍となる(手数料も同じ)。

  6. 手数料は、日計りのときは往復で1枚あたり105円(損益欄の数字の桁に合わせると1.05円)、仕掛けと決済の日が違うときは往復で210円(2.1円)。

  7. 累計損益欄は、仕掛けた日の順番に累計したが、手仕舞いした日に損益が確定するので、実際はこの順に利益が積み上がったわけではない。


6月11日に取引No.16までの売買譜と右図のグラフを掲げました。

図の○がついた数字(表の取引No.)は仕掛け、単なる数字は手仕舞い。青色は売り仕掛け、赤色は買い仕掛け。

取引No.17〜29のグラフを掲げます。

陰陽足の上にある数字(表の取引No.)は仕掛け、陰陽足の下にある数字は手仕舞い。

青色は売り仕掛け、赤色は買い仕掛け)

No.20から29はダンゴ状態になっていますが、これはNo.19の売り仕掛けが原因です。(No.19の建て玉を有利にしようとして頻繁な売買をした)

どういうグラフを見て売買したかです。

右は毎日HPで掲載している《カナル24》の(標準3)No.20「平均線と順位相関」です。日足のグラフから、小波動がピークらしいか、ボトムらしいかを見ています。

HPを書いた時点でピークらしさ・ボトムらしさの判断はできています。よってトレードするときには見てはいません。


トレードする際に見ているのは右図。
  1. 銘柄は「日経先物」(日経ミニは見ない)の3分足。

  2. 《リアル24》のNo.103「プレゼント」に平均線3本を追加して描かせています。

  3. 仕掛けの売買マークや決済のマークが表示されますが、これはほとんど無視しています。


上図の条件表の内容は次のとおりです。簡単なものです。



@日足グラフで相場の局面を把握しておく


右図は2008年6月18日の全部と19日の前場の一部の3分足です。

「プレゼント」は(a)で買い、(b)で売りの仕掛けのマークを出しています。これはこれで当たっていますが、私は(a)の買いマークは無視しました。18日は日足のグラフから小波動のピークに近いと判断していたからです。

18日の動きはこれだけを切り取って判断すると間違います。一連の日足の動き(=日足の波動)に規制された動きをします。日足が小波動のピークをつけようとしているときに、3分足が快調に上昇しているからといって、追いかけて買い仕掛けをしていれば、どこかでドンデン返しに会います。

ましてや、すでに小波動がピークを打っているのであれば、3分足が上昇する日があっても、3分足が下げる日のほうが多くなるのは当然のことです。

2007年10月に先物講座 No.3 デイトレシステムの検証と運用を掲載しました。そこで、代表的なチャートを使ったトレードシステムの検証をしています(2005年8月1日〜2007年7月31日までの2年間)。成績をまとめて再掲します。

このときの売買ルールは
  1. 売買マークがでたら、翌足の始値で仕掛ける。
  2. 14:30以降の仕掛けはしない(時刻制限)。
  3. 仕掛けて40本が経過したら41本目の始値で手仕舞う(時間切れ)。
  4. 15:00になったら手仕舞う(オーバーナイトしない)。
  5. 反対の売買マークがでたらドテンする。
  6. +1.2%の利益がでたらザラバで利食いする。
  7. -0.7%の損失がでたらザラバで損切りする。
というものでした。また1回の売買(仕掛けと手仕舞い)につき8.7円の取引コストがかかるものとして成績を出しました。

条件表No. トレード数
勝ちトレード
負けトレード
損益額
利益額
損失額
平均利益
勝月数
負月数
最大ドローダウン 勝率 プロフィットF ドローR 回復R T得点
No.103
プレゼント
423回
221回
202回
2159円
14677円
-12517円
5.1円
15月
9月
-1053円
9連勝
5連敗
52.2% 1.17倍 0.39倍 0.41倍 19点
@平均線クロス
10本/90本
651回
275回
376回
666円
16877円
-16211円
1.0円
15月
9月
-1051円
5連勝
9連敗
42.2% 1.04倍 0.13倍 0.09倍 0点
A波動の切上げ・切下げ 814回
356回
458回
-5641円
20952円
-26594円
-6.9円
7月
17月
-5727円
9連勝
10連敗
43.7% 0.79倍 -0.20倍 0.00倍 0点
Bモーメンタム
29本
2443回
730回
1713回
-16214円
31039円
-47253円
-6.6円
1月
23月
-16214円
5連勝
22連敗
29.9% 0.66倍 -0.20倍 0.00倍 0点
Cドンチャン
70本/15本
589回
251回
338回
-2344円
17156円
-19500円
-4.0円
7月
17月
-3676円
6連勝
9連敗
42.6% 0.88倍 -0.13倍 0.09倍 0点
Dボリンジャー
逆張り
760回
355回
405回
-5622円
19991円
-25613円
-7.4円
8月
16月
-5817円
8連勝
8連敗
46.7% 0.78倍 -0.19倍 0.00倍 0点
Eオープニング・レンジ
25本
471回
223回
248回
-2117円
12959円
-15077円
-4.5円
8月
16月
-2793円
8連勝
10連敗
47.3% 0.86倍 -0.15倍 0.00倍 0点
FRSI(A)
25以下・75以上
7406回
3993回
3413回
-47672円
51630円
-99303円
-6.4円
0月
24月
-47672円
12連勝
16連敗
53.9% 0.52倍 -0.20倍 0.00倍 0点
GMACD 1490回
567回
923回
-7363円
29837円
-37200円
-4.9円
6月
18月
-8085円
7連勝
16連敗
38.1% 0.80倍 -0.18倍 0.00倍 0点
HCCI 1061回
303回
758回
-6210円
12763円
-18974円
-5.9円
3月
21月
-6693円
10連勝
16連敗
28.6% 0.67倍 -0.19倍 0.00倍 0点

上表の「T得点}とは、統計上の誤差を考慮して、今後起きるであろう最悪の場合を想定したときの総合得点です。0点というのはそのときの統計値がいくらよくても、将来的に成績が悪化して利益がでないだろうことを表しています。T得点が0を上回っているのは「プレゼント」だけです。

No.103「プレゼント」はほかの代表的なチャートよりも優れていました。ここで「プレゼント」は使えると確信しました。相場感を持たなくても、プレゼントの売買指示に従えばわずかでも利益がでます(表では2年間で2159円の利益がでている)。これに日足ベースの相場感によって売買マークを取捨選択すれば、もっとよい成績になるはずです。



図は《カナル24》で描画した日足の9日順位相関です。順位相関の値が+80以上のときに売りマーク、-80以下のときに買いマークが出ています。

日足ベースで、
  1. 前日の順位相関が+80以上のときは、当日の3分足で「プレゼント」が買いマークを出しても買い仕掛けはしない。

  2. 前日の順位相関が-80以下のときは、当日の3分足で「プレゼント」が売りマークを出しても売り仕掛けはしない。

  3. 前日の順位相関が+80〜-80の間のときは、当日の3分足で「プレゼント」が出した売買マークにしたがって仕掛ける。
「前日」の順位相関としたのは、当日の順位相関の値は引けた後にしかわからないためです。つまり日足ベースで前日の株価が高いと思われるときはもっぱら売り仕掛けをし、安いと思われるときはもっぱら買い仕掛けをするわけです。売買マークを選別したときの成績は次のようになります。

条件表No. トレード数
勝ちトレード
負けトレード
損益額
利益額
損失額
平均利益
勝月数
負月数
最大ドローダウン 勝率 プロフィットF ドローR 回復R T得点
プレゼントの
売買マークを選別したとき
353回
190回
163回
2668円
12837円
-10168円
7.6円
15月
9月
-1473円
8連勝
7連敗
53.8% 1.26倍 0.36倍 0.67倍 42点

上表の数字は「新規検証」では出てきません。(プレゼントの検証をして、そこから前日の順位相関とは違う仕掛けをしているものを消していく)

プレゼントの売買マークどおりに仕掛けるよりも、売買マークを日足の順位相関によって選別したほうが成績がよくなることは明らかです(緑色の欄はよくなったもの)。

毎日HPで述べている「小波動のピーク(ボトム)らしさ」を判断するポイントは最高で8ポイントになりますが、9日順位相関はそのうちの1ポイントを受け持っています。たったの1ポイント分のチャートによって仕掛けを選別しただけでプレゼントの成績はかなりよくなります。ほかのポイントも勘案すれば、さらにさらに成績はよくなるでしょう。


A手仕舞いしたあとに仕掛けてよい

売買マークは、仕掛けや手仕舞いのタイミングを指示するものですが、その指示は絶対的なものではありません。標準の売買ルールでは手仕舞い(決済)は次の5つを採用しています。
  1. 仕掛けて40本が経過したら、翌足の始値で手仕舞いする。
  2. 15:00になったら、その足の終値で手仕舞いする。
  3. 反対の売買マークがでたらドテン(手仕舞いして、新規に仕掛ける)する。
  4. +1.2%の利益が出たらザラバで利食いする。
  5. -0.7%の損失が出たらザラバで損切りする。
以上のうち、ドテン以外はその日の相場の流れとは関係のない手仕舞いかたです。便宜上、手仕舞いしたほうがよいと決めたものです。 なぜ40本が経過したら手仕舞いせねばならないのか。なぜ+1.2%で利食いするのか。-0.7%で損切りするのか。15:00で手仕舞いしてオーバーナイトしないのか。これらは過去のデータから平均的にそうすればよいと決めたものでしかありません。

その日の株価の動きはいつも平均的に動くわけではありません。+2.0%の利益がでる日もあれば、-2.0%の損失がでる日もあります。仕掛けて10本が経過したときに手仕舞いしたほうがよい日もあれば、最後まで手仕舞いしないほうがよい日もあります。日によって株価の動きは違うので、一応の目安として(ドテンを除く)4つの手仕舞いかたを決めているだけです。


図は2008年6月19日の3分足です。
  1. プレゼントは、寄り付き(a)で売りマークを出しました。これは従ってよい売り仕掛けです。(a)の翌足の始値は14280円でした。

    ところが、その後+1.2%の利食いもできず、-0.7%の損切りもなく、(b)で40本目となったので「時間切れ」の手仕舞の指示がでました。(b)の翌足の始値は14180円だったので+100円の利益がでます。ここまでは指示どおりに売買してよいでしょう。

  2. しかしプレゼントはいったん売りマークが出たら、次に買いマークが出るまでは新たな売買マークを出しません。(b)で手仕舞いした後は買いマークがでるまで仕掛けることはないのです。その後いくら株価が下落しても、続けて売りマークは出ないのです。

  3. 図の(c)は3日前に14200円で売り仕掛けをした(ずっと損失勘定になっていた)売り玉を手仕舞いした位置です。売買譜のNo.19にあるように14190円で手仕舞いしたので+10円の利益がでました。

  4. (d)の14200円で、私は再度の売り仕掛けをしました。なんとなれば、プレゼントの本体である「カギ足肩抜き」はグレー(陰転中)であったからです。グラフの赤色線(25本と75本線の平均)までは戻らないだろうという目先の相場感があって、14200円で売りと決めました。

  5. その後、(e)の14140円で利食いし、+60円の利益になりました(売買譜のNo.26)。もしプレゼントの指示通りに(b)で手仕舞っていたとしても、(d)で新規に売り仕掛けをしてよいのです。むしろ、当日の一方的な下げに対するリバウンドに対しては積極的に売るべきです。

    この場合はすでに(b)で利益を出しているので、(d)の売り仕掛けについては「利食い」で決めている+1.2%の利益を基準にすることはありません。10円でも20円でもよいから、利益を上乗せすることができればよいのです。
せっかくプレゼントが売りである(カギ足がグレーになっているとき)といってくれているのに、(b)で手仕舞いしたから、その後は何もしないというのは、みすみす利益がでるチャンスを捨てていることになります。

仕掛けを選別したプレゼントでも勝率は53.8%しかありません。この勝率を高めるにはプレゼントが指示した売買マークが出ないところで仕掛け、手仕舞いするということをするしかないのです。ただしそれはプレゼントが表示している相場の方向(陽転中・陰転中)と逆のことをしてはいけません。「カギ足肩抜き」が赤色線のときは買い仕掛けのチャンスを狙うべきだし、灰色線のときは売り仕掛けのチャンスを計るべきです。



B利食い幅は日によって変更するのが理想

前章の6月19日のグラフを見ると、(a)の寄り付きは14310円でした。その後10:00までの1時間のあいだの安値は14180円でした。立会い開始から1時間の値幅は130円(=14310-14180)です。この値幅は平均的な 値幅です。

その後前引け(b)の少し前に安値14150円を出しているので、今日のひと波動の値幅は160円(=14310-14150)であると思ってよいでしょう。


私はプレゼントが指示していない(d)14200円で売り仕掛けをしましたが、利食い目標は、160円幅の1/3の53円を予定していました。50円なら14150円、60円なら14140円が手仕舞いの株価水準です。少し悩みましたが結局は14140円で手仕舞いの注文を出して成約し、+60円の利益を追加できました。

後から見ると(f)の14080円まで下落し、後場寄り後の高値14220円から140円の下落をしましたが、これは「神のみが知る」値幅です。+60円の利益を追加できたことで満足すべきものです。

図はそれより3日前の6月16日のグラフです。

(a)14150円で寄り付きました。10:00までのザラバ安値は14120円、ザラバ高値は14180円。1時間の値幅は60円という小さな動きでした。

その後14230円の高値をつけましたが、ここまでの値幅は110円(=14230-14120)でしかありません。この日の株価の動きは最大で110円、並なら60円でしかないと判断してよいでしょう。

後場の高値は14400円、安値は14340円であり、値幅は60円しかありませんでした。14450円で売りの指値注文を出していましたが、成約しませんでした。

図は翌日の6月17日のグラフ。

この日も株価は動かなかった。寄り付きは14430円。10:00までの1時間の値幅は高値14430円、安値14310円で120円幅でした。

後場は高値14420円、安値14350円で値幅はわずかに70円。朝から出していた14450円の売り指値は成約せず。

どのようなトレードシステムを作ろうと、値幅が100円しかなければ売買はできません。こういう日に手仕舞いするには、固定的な+1.20%(利食い)とか-0.70%(損切り)を金科玉条のものとしていては不可能です。朝の1時間(9:00〜10:00)を見ていれば、だいたいその日の値幅はわかります。


図は翌日の6月18日のグラフ。

この日も小動きだった。寄り付き直後に安値14330円をつけたが、1時間後の10:00までの高値は14430円。その幅は100円です。

高値14430円から次の安値14380円まではたったの50円。 今日は50円幅の動きであると10:00に見切りました。

前日からの方針の14450円の売り仕掛けは(c)で約定しましたが、利食い幅は20円か30円が精々だと思って、(d)14430円で利食い(+20円)する。

後場も14450円で売り注文を出していたら、思いがけず高く寄り、(e)14485円で売りが成約したので、(f)14455円で手仕舞う(+30)。

続いて14450円の売り注文をだしておくと、(g)で成約したので、(h)14430円で手仕舞い(+20)。 さらに14450円の売り注文を出すと(i)で成約する。その後大引けまでは利食いできず、夕場で14420円に手仕舞いを出していたところ成約(+30)。

結局6月19日は4回の仕掛けによって合計+100円の利益となりました。10:00直前の安値14380円から後場の高値14500円までは120円幅しかなかったのに、+100円の利益を出せたのは、利食い幅を20〜30円と判断したためです。

もし利食いは+1.2%(約170円)と固定的に考えていれば、今日の+100円の利益はありません。利食い幅は日によって変更するのが理想です。ただし変更するにしても、原則を持っていなければなりません。恣意的、感情的に変更してはいけない。私は9:00〜10:00の値幅を見て、当日の値幅を知り、利食い(仕掛けも)の株価水準を決めています。

せっかく決めたシステム(条件表と売買ルール)をそんなに簡単に崩してよいのかと思われる方があるでしょう。だが、 代表的な9つのチャートよりも断然成績のよい「プレゼント」ですら勝率は53%しかないのです。100回の売買で53回勝って、47回は負けるのです。その差の6回が利益になるだけです。もともと完全なシステムはないし、できないのだから、システムを補完する工夫が必要であると思います。


C損切り幅・利食い幅が小幅過ぎないか?

よいトレードシステムとは、簡単にいえば、@累計利益が大きいもので、A勝率が高いものでしょう。ただこれは互いに相反する性格をもちます。利食い幅と損切り幅の大きさによって、累計利益を最大化することができるし、勝率を最大化することもできます。しかし両立させることはできません。

冒頭に掲げた売買譜で、No.20〜No.25とNo.29は特別な目的があっての売買なのでこれを除くと、利益が出た取引は18回、その利益額は2100円です。平均すると116.6円で利食いしています。今回の売買では、次の利食い幅・損切り幅を目安にしました。
  1. 利食いは+200円を目標とする(ただし日によって利食い幅を変更したので、結果的には平均120円弱で利食いした)。
  2. 損切りは-500〜-600円とする(No.9の取引が結果的には損切りになった。)。
この利食い幅・損切り幅は、これまで私が思っていた標準の売買ルール(+1.2%で利食い、-0.7%で損切り)とはおおいに違います。日経平均が14000円だとすると、+1.2%は168円(170円)にあたり、-0.7%は98円(100円)に相当します。今回の売買では利食いは120円弱と小さくし、損切り幅は5倍も広げました。 利食い幅を小さくし、損切り幅を大きくすれば勝率はアップします。利益額を最大にするよりも高い勝率を求めたためです。

高い勝率を上げるためには、 @できるだけ利食い回数を増やす、 Aできるだけ損切りしない、 B「時間切れ」や15:00の決済までに利益を確保する。ということを工夫せねばなりません。

1つの工夫は前B章「日によって利食い幅を変更する」ことです、2つめは本章の「損切り幅を思い切って大きくする」です。売買譜では-500円〜-600円で損切りするとしました。これは損切り幅としては大きすぎるのではないかと思われる方があるでしょう。しかしこの値幅には根拠があります。 「日経先物の1日の値幅」の統計(1997年5月1日〜2008年6月20日まで)を掲げます。

(表1)日経先物の1日の値幅
値幅 変動率(L→H%) 変動率(H→L%)
227.2円
SD(123.0)
最大 1090円
最小   0円
1.65%
SD(0.85)
最大 7.97%
最小   0%
-1.63%
SD(0.81)
最大 -7.38%
最小   0%
表によれば1日の値幅(高値-安値)の平均は227円。安値から高値への上昇率は1.65%、高値から安値への下落率は-1.63%です。 平均すれば±1.60%の動きをしているに過ぎません。

これまで1日の変動幅が最大であったのは-1090円、変動率では-7.38%です。統計をとった2720日間で、
  1. 変動率が+5.0%以上あるのは19日。変動率が-5.0%以上あるのは15日。
  2. 変動率が+4.0%以上あるのは57日。変動率が-4.0%以上あるのは46日。
  3. 変動率が+3.5%以上あるのは92日。変動率が-3.5%以上あるのは83日。
しかもほとんどは1997年〜2002年に起きています。この間は極端な信用不安が発生した時期です。2003年以降で±3.5%以上の変動をした日は、92日のうち17日です。 この17日のすべてで損切りになるのではありません。+3.5%上昇した日に売り仕掛けをして損切りし、-3.5%下落した日に買い仕掛けをして損切りしと、まったく逆の仕掛けをすることはやろうとしてもできることではありません。17日のうちの半分は損切り、半分は利食いとなるのが普通です。

となると-3.5%の損切りにひっかかるのは半分の9日。ザラバ高値(安値)で仕掛けてザラバ安値(高値)で損切りすることも珍しいでしょうから、この半分の5日が損切りの可能性がある日でしょう。-3.5%の損切りに出くわす確率は極めて小さいのです。これによって損切り幅は-3.5%と大きくすることにしました。

No.103「プレゼント」で損切り幅を-3.5%に固定し、利食い幅を変化させて、累計利益と勝率がどう変わるかを調べました。成績はここであげた各システムとおなじ条件(2005年8月1日〜2007年7月31日の2年間。取引コストは8.7円)です。

No. No.103
プレゼント
トレード数
勝ちトレード
負けトレード
損益額
利益額
損失額
平均利益

損切回数
最大ドローダウン 勝率 プロフィットF ドローR 回復R T得点
@ 利食い+1.2%
損切り-0.7%
423回
221回
202回
2159円
14677円
-12517円
5.1円

損切15回
-1053円
9連勝
5連敗
52.2% 1.17倍 0.39倍 0.41倍 19点
A 利食い+1.2%
損切り-3.5%
423回
221回
202回
2119円
14677円
-12557円
5.0円

損切 0回
-1132円
9連勝
5連敗
52.2% 1.17倍 0.37倍 0.40倍 15点
B 利食い+1.0%
損切り-3.5%
423回
223回
200回
2359円
14819円
-12460円
5.6円

損切 0回
-953円
9連勝
5連敗
52.7% 1.19倍 0.49倍 0.45倍 31点
C 利食い+0.8%
損切り-3.5%
423回
225回
198回
2349円
14752円
-12402円
5.6円

損切 0回
-823円
9連勝
5連敗
53.2% 1.19倍 0.57倍 0.44倍 32点
D 利食い+0.6%
損切り-3.5%
423回
232回
191回
2299円
14291円
-11991円
5.4円

損切 0回
-808円
9連勝
5連敗
54.8% 1.19倍 0.57倍 0.48倍 34点
E 利食い+0.4%
損切り-3.5%
423回
259回
164回
2199円
12896円
-10696円
5.2円

損切 0回
-709円
9連勝
5連敗
61.2% 1.21倍 0.62倍 0.50倍 41点
F 利食い+0.2%
損切り-3.5%
423回
314回
109回
1059円
8958円
-7898円
2.5円

損切 0回
-573円
16連勝
4連敗
74.2% 1.13倍 0.37倍 0.29倍 0点
G 順位相関で選別
利食い+0.6%
損切り-3.5%
353回
199回
154回
2518円
12408円
-9889円
7.1円

損切 0回
-908円
8連勝
7連敗
56.4% 1.25倍 0.55倍 0.62倍 46点

損切りを-3.5%としたので、損切りは0回になりました。T得点を見ると、利食いは+0.8%〜+.04%がよいことがわかります。なおG番目は、@章でいった9日順位相関によって売り仕掛け・買い仕掛けを選別したときの成績です。(利食い+0.6%、損切り-3.5%)、選別した成績はどのような利食いよりもよい成績になっています。

次は2007年8月1日〜2008年6月20日の検証です。この期間はサブプライム問題から世界的な株安になりました。特に日本株は他国に較べて下げが大きかった。この時期どういう利食い・損切り幅にしておけばよかったのか?

No. No.103
プレゼント
トレード数
勝ちトレード
負けトレード
損益額
利益額
損失額
平均利益

損切回数
最大ドローダウン 勝率 プロフィットF ドローR 回復R T得点
@ 利食い+1.2%
損切り-0.7%
239回
109回
130回
-819円
8421円
-9241円
-3.4円

損切29回
-1027円
8連勝
7連敗
45.6% 0.91倍 -0.16倍 0.00倍 0点
A 利食い+1.2%
損切り-3.5%
239回
109回
130回
-959円
8421円
-9381円
-4.0円

損切 0回
-1147円
8連勝
7連敗
45.6% 0.90倍 -0.17倍 0.00倍 0点
B 利食い+1.0%
損切り-3.5%
239回
111回
128回
-1019円
8284円
-9303円
-4.3円

損切 0回
-1173円
8連勝
7連敗
46.4% 0.89倍 -0.17倍 0.00倍 0点
C 利食い+0.8%
損切り-3.5%
239回
113回
126回
-639円
8376円
-9016円
-2.7円

損切 0回
-1072円
8連勝
7連敗
47.3% 0.93倍 -0.12倍 0.00倍 0点
D 利食い+0.6%
損切り-3.5%
239回
124回
115回
260円
8671円
-8410円
1.1円

損切 0回
-1098円
8連勝
7連敗
51.9% 1.03倍 0.05倍 -0.24倍 0点
E 利食い+0.4%
損切り-3.5%
239回
141回
98回
-189円
7163円
-7352円
-0.8円

損切 0回
-768円
9連勝
7連敗
59.0% 0.97倍 -0.05倍 0.02倍 0点
F 利食い+0.2%
損切り-3.5%
239回
174回
65回
-639円
4516円
-5155円
-2.7円

損切 0回
-959円
15連勝
4連敗
72.8% 0.88倍 -0.13倍 0.00倍 0点
G 順位相関で選別
利食い+0.6%
損切り-3.5%
207回
110回
97回
379円
7513円
-7133円
1.8円

損切 0回
-1115円
8連勝
7連敗
53.1% 1.05倍 0.07倍 0.12倍 0点

標準の売買ルール(+1.2%利食い、-0.7%損切り)は平均-3.4円の損失を出しており、「+0.6%で利食い」だけがプラスになっています。なおG番目は、9日順位相関によって売り仕掛け・買い仕掛けを選別したときの成績です(+0.6%で利食い)。
  1. 「+0.2%で利食い」は2つの時期とも勝率は70%台をキープしています。ただ平均利益が2.5円と-2.7円になっているので、プレゼントに合わない時期にはマイナスになることがあります。

  2. 「+0.4%で利食い」の勝率は61.2%と59.0%です。勝率が60%を超えればなんとかそのシステムを使ってみようかという気になります(本当は70%の勝率がほしい)。平均利益は5.2円と-0.8円になっています。取引コストは8.7円であると仮定しているので、取引コストのうちのスリッページを減らすことができれば、マイナスになることは防げます。

  3. 「+0.6%で利食い」の勝率は54.8%と51.9%です。勝率からは不満です。2つの時期でプラスになっていますが、勝率を60%以上に高める工夫をしない限り、「+0.6%で利食い」は採用できません。
売買成績からはこのようにいえます。だがこれは売買ル-ルを固定しているときの話です。前章Bでは「日によって利食い幅を変更するのが理想」といいました。現在の《リアル24》の売買システムでは、日によって利食い幅を自動的に変更することはできませんが、上表で利食い幅が+0.8〜+0.4%のものが成績がよかったことから、
  1. +0.6%で利食いを基準とするが、日によって
  2. +1.2%を上限とし
  3. 0.0%を下限として利食いすることを心がける。
そうすれば、上表の「+0.6%で利食い」の成績よりもよくなるはずです。(勝率がアップし、平均利益率がアップする)


D2枚目(2度)の仕掛けを予定しておくのがよい


冒頭の売買譜を見ると、建て玉を2枚している日があります。これは1度に2枚を仕掛けたのではなく、1枚建てた後、損失勘定になったので、もう1枚を追加したものです。

5月からの売買の初期に取引No.3とNo.4で2枚の建て玉にしたので、これを例にして説明します。

損失勘定のときに追加して仕掛けるのを「難平(ナンピン)」だと思われている方があるかも知れませんが、それは損失の大きさによります。私は
  1. 原則に従って、例えば14000円で売り仕掛けをしたとき、

  2. 14500円まで株価が上昇することはまずないと思っています(考えなしで仕掛けたら500円くらいの損失はすぐに出てしまうが)。よって損切り幅を-500円〜-600円に決めています。

  3. ただ売り仕掛けた14000円がピークとは限らない。14200円、14300円になるかも知れない。そのときは14200円か14300円で第2弾目の仕掛けをする。
そういう方針にしています。ナンピンというのは、(損切りしなかったために)自分が思っていた損切り幅を超えて評価損が出た。このまま建て玉していてもどうにもならないから、現在の株価水準で 追加の建て玉をして、平均単価を上げる(下げる)仕掛けのことをいいます。予定している損切り幅の半分ほど高い(安い)だけの仕掛けは「分割仕掛け」とでもいうべきものであり、ナンピンではありません。



2008年5月13日

日足ベースでは、上図の(a)からの下げは、まだ(B)では終わっていないと判断して、Bの日に売り仕掛けをしました。

右図の(a)で13970円で売り。その後の安値は13930円までしかなく、利食い(当初は200円と思っている)はできませんでした。




2008年5月14日

(c)は13910円。
(d)で株価は75本平均線まで戻ってから下落して、
(e)13880円となるが、13970円からは100円の利幅もないので手仕舞いせず。

(f)で株価は完全に75本線を上抜き、

(g)への反落は75本線で止まったので、(g)のあとに手仕舞いしていたら、-10円か-20円の損失で止まったはずだが、「分割仕掛け」を試してみたかった。

(h)大引けは14110円。(-140円の評価損)

2008年5月15日

13970円の仕掛けなので、14170円〜17270円の間で2度目の仕掛けをしようと予定していたら、前日より80円高く寄り付いた。

(i)14200円で2度目の売り仕掛け。この時点で、1度目の13970円の建て玉は、14500円になれば損切りしようと決める。

この日の株価は、2度目の仕掛け値の14200円以上で推移する。

2008年5月16日

(j)寄り付き直後に14420円の値段がついたので、1度目の13970円の仕掛けを14500円の指値で買戻しする注文を出しておく。

(k)2度目の仕掛け値の14200円まで株価は下落したが、損失勘定のままで終わる。


2008年5月19日

1度目の損切り予定水準である14500円と2度目の仕掛け値の14200円の間で株価は推移し、損失勘定のままで終わる。

2008年5月20日

株価は崩れた。

(l)で2度目の仕掛け値の14200円まで下落するが、それ以上には下げない。

後場寄り(m)14120円まで下落するが、14200円の仕掛けから+80円の利益幅なので手仕舞いはしなかった。

2008年5月21日

(n)前日比-200円安の14000円で寄り付く。

方針では、2度目の仕掛け14200円を14000円で手仕舞い、1度目の仕掛け13970円を13770円で手仕舞いするのだったが、欲がでた。

(o)13850円で1度目の13970円の仕掛けを手仕舞い+120円の利益を確定する。

2度目の仕掛け14200円が残っている。


2008年5月22日

(p)13650円時点では、14200円の売りは+550円の利益になる。1度目の仕掛け13970円からでも+320円の利益になるのだが、日足ベースの前回の小波動のボトムが13640円であったので、この水準を割り込むと判断した。

だがこの判断は間違い。株価は(q)で75本平均線を完全に上抜き、反転した。

(r)大引け近くの13980円で手仕舞いし、+220円の利益が確定した。1度目の13970円の売りによる+120円と合わせて+340円の利益になった。

途中で何回かの判断ミスがあり、恥ずかしいような売買になりましたが、この売買で得た感触は私にとって実り多いものとなりました。
  1. (a)13970円で売ったあと、翌日の(g)で小幅な損失で手仕舞いしておくのが一番よかった。そうなれば、おそらく(i)14200円か(j)14400円で再び売り仕掛けをしているはずで、14500円で損切りを覚悟することは不要になっていたはず。

  2. (n)の14000円で、14200円の売りを手仕舞いし、(p)より前に13970円の売りを13770円で手仕舞いして、合計で+400円の利益を確定すべきだった。

  3. もし(p)までに手仕舞いしていなくても、完全に75本線を上回った(q)13830円では手仕舞いすべきだった。そうなら14200円の売りは+370円の利益がでていた。

  4. 予定しておく損切り幅を大きくとっておけば、少々株価が乱高下しても耐えられる。慌てなくてすむことが体験できた。

  5. もう1枚仕掛けることを予定しておけば、最初の仕掛けはどうにでもプラスにもっていくことができる。2枚建て玉した例は売買譜の取引No.でいうと以下のものです。

    @(No.3〜No.4)は、1度目、2度目の仕掛けはともに利食いし、合計+340円の利益がでた。

    A(No.9〜No.15)は、1度目は損切り(誤発注もあった)したが、2度目、3度目の仕掛けは利食いし、1度目の損切りを帳消しにして+200円の利益がでた。

    B(No.19〜No.25)は、1度目は+10円で利食いし、2度目の仕掛けをフル活動させて+100円の利益をだした。合計+110円の利益になった。
今年の1月下旬から3月上旬にかけて、時間が作れた日に、デイトレをしてみました。経験が浅い日経先物のトレードだからと、システム(条件表と売買ルール)に忠実に、細かな仕掛けと手仕舞いを繰り返しました。毎日デイトレをしていれば検証した成績に近くなったかと思いますが、なにしろ時間があるときだけトレードするので、検証どおりの成績は出ず、小幅ながらマイナス勘定になりました。

こういうトレードはよくない。第一私の相場感がどこにも生かせない。相場感とは異なる機械的な売買をするのでストレスがたまる。第二に機械的な売買は大して勝率が高くないから、勝ったり負けたりしてわずかの利益を積み上げるしかない。これを毎日続けないと検証どおりの成績にはならない。しんどい話です。

冒頭に「日経先物のトレードでなぜ勝てないのか?」の原因を6つ掲げましたが。これは、私がこの体験から反省したものです。 今回の5月からは、自分が思うとおりの売買をしました。29回の取引をしてみて「これでよい。やり方は間違っていない。」という手ごたえをつかみました。


E何円になれば売買マークがつくのかが予定できる条件表を使うのがよい

冒頭の売買譜では29回の取引をしています。すなわち29回の仕掛けの注文を出し、29回の手仕舞いの注文をだしましたが、「成行」の注文は取引No.13の手仕舞いだけで、残り57回は「指値」の注文です。 指値注文を出すためには、@あらかじめ株価が何円になったら売買マークが出るかがわかっていなければなりません。仕掛けのタイミングを条件表に頼らないときでもA何円になったら仕掛けるという予定の値段が決まってなければなりません。

「プレゼント」は、初めて直前のカギ足のボトムを下抜いたときに売りマークを出し、初めて直前のカギ足のピークを上抜いたときに買いマークを出します。

図は2008年6月4日の3分足です。この日の立会いが終了した後で、日足ベースの9日順位相関のグラフを描かせると、6月4日は+80以上になっているので、明日は売りマークがでたら売ろうと決めたとしましょう。

3分足を再び見ると、(a)が直前のボトムで株価は14340円です。明日14330円(ミニの場合は14335円)に株価が下落したら、売りマークが出ることがわかります。

図は、@章「日足グラフで相場の局面を把握しておく」で、9つの代表的なシステムの成績を掲げましたが、そのうちで最も成績がよかった「平均線クロス(10本/90本)」のグラフです。同じく2008年6月4日の3分足です。

10本平均線と90本平均線が描画されています。(a)のように10本線が90本線とゴールデン・クロスしたときに買いマークが出て、デッドクロス したときに売りマークがでます。

明日、10本線と90本線がデッドクロスしたら売り仕掛けをしようと決めたとしましょう。しかしこの日の段階では株価が何円になればデッドクロスするのかはわかりません。

プレゼントを使うときは、翌日6月5日の寄り付き前に14330円の指値で売り注文を出しておけば、(p)14330円で約定します。

ただし14330円で約定した後、14340円に戻ってカギ足が陰転しないおそれがありますが、多くは陰転します。

陰転したことが確定するのは、(p)の次の足が表示されたときです。ここで14330円の指値を出しても約定できるとは限りません。


「平均線のクロス」は、いつクロスするのかの予想は不可能です。

翌日6月5日の寄り付きではまだデッドクロスしていません。3分たって(a)の足が確定してもデッドクロスしません。(b)でもしません。

いつクロスするのかをずっと見続けていると(c)でデッドクロスして売りマークがでました。しかしまだ(c)の3分足は確定していません。はっきりとデッドクロスしたことがわかるのは(c)の次の3分足が表示されたときです。

このときに(c)の終値の14360円で売り指値の注文をだすか、(c)の次の3分足の始値の14360円で売り指値の注文をだすかです。

14360円の指値を出したとしても約定できるとは限りませんから、確実に約定させるために「成行」注文にすると、たぶん14350円で約定するでしょう(この例ではその後14360円以上の株価になっているので指値でも約定できるが)。

株価が何円になれば売買マークが出るのかがあらかじめわかるような条件表を使って、指値の注文を出すようにすれば、そう大きなスリッページを考慮しなくてすみます。ここで掲載した全てのシステムの成績は1取引(往復)で平均して8.7円の取引コストがかかるとしています。内訳は手数料が2.1円、スリッページが6.6円です。

仕掛けも手仕舞いもできるだけ指値注文を出して、1取引のスリッページが5.0円になったとしましょう。また日経ミニを売買するなら日計りの手数料は往復で1.05円(片道0.525円)ですから、片道の取引コストを3.0円(往復6.0円)とすれば、成績は目覚しく向上します(次表のC)。 全部の取引を指値で注文したとき(売買譜はそうである)は、取引コストは手数料の1.05円(片道0.525円)だけになります(次表のD)

次の表は「プレゼント」に工夫をこらすとどのような成績になるのかをまとめたものです。工夫は以下のとおりです。
  1. プレゼント(標準売買ルール)+取引コスト8.7円
  2. @章で述べた日足の順位相関で仕掛けを選別したもの。(標準売買ルール)+取引コスト8.7円
  3. C章の利食い幅を+0.6%に縮小し損切り幅を-3.5%に拡大したもの。取引コスト8.7円
  4. D章のできるだけ指値で注文するもの。取引コスト6.0円
  5. すべてを指値で注文するもの。取引コスト1.05円
取引のしかた トレード数
勝ちトレード
負けトレード
損益額
利益額
損失額
平均利益
勝月数
負月数
最大ドローダウン 勝率 プロフィットF ドローR 回復R T得点
@原型プレゼント
利+1.2%,損-0.7%
423回
221回
202回
2159円
14677円
-12517円
5.1円

損切15回
-1053円
9連勝
5連敗
52.2% 1.17倍 0.39倍 0.41倍 19点
A順位相関で選別
利+1.2%,損-0.7%
353回
190回
163回
2668円
12837円
-10168円
7.6円

損切12回
-1473円
8連勝
7連敗
53.8% 1.26倍 0.36倍 0.67倍 42点
B順位相関で選別
利+0.6%,損-3.5%
取引コスト 4.35円
353回
199回
154回
2518円
12408円
-9889円
7.1円

損切 0回
-908円
8連勝
7連敗
56.4% 1.25倍 0.55倍 0.62倍 46点
C順位相関で選別
利+0.6%,損-3.5%
取引コスト 3.0円
353回
199回
154回
3472円
12946円
-9474円
9.8円

損切 0回
-760円
8連勝
7連敗
56.4% 1.37倍 0.91倍 0.89倍 76点
D順位相関で選別
利+0.6%,損-3.5%
取引コスト 0.525円
353回
199回
154回
5219円
13931円
-8711円
14.8円

損切 0回
-606円
8連勝
7連敗
56.4% 1.60倍 1.72倍 1.45倍 129点


これで《リアル24》のユーザーへのアドバイスは終わります。売買譜を掲載するということは、自分のトレードシステムのノウハウを公開するのと同じことです。と同時に、あとから見ると間違った売買を繰り返しているので、自分の愚かさをさらけだす恥ずかしさがあります(今回の売買譜の掲載は、馬鹿なことをしたと後悔しています)。

あえて売買譜を掲げたのは、《リアル24》を使ってトレードするときに、私はどのような工夫をしたか、どのようなことを予定して売買したのかの例を示したかったためです。 冒頭にかかげた売買譜の「仕掛け」は私の相場感によるものです(@章参照)。「プレゼント」の売買マークに従ったわけではありません。「手仕舞い」も固定した値幅はありません。日によって大きくまた小さく利食い幅を変更しています(B章参照)。また手仕舞い後の「新たな仕掛け」は、利益を貪欲に追加するための方策です。利食いをしたあとでも、利が期待できると思えばさらなる仕掛けをするのがよいのです(A章参照)。

機械的な売買では60%を超える勝率を出すことは困難です。利食い幅を小さくすれば70%以上の勝率がでますが、トータルの利益額は小さなものになります(C章参照)。毎日毎日頻繁に売買を繰り返して、たったこれだけの利益しか出ないのか、ということになります。 「2度目の仕掛け」はストレスなく、少し損失勘定になっている建て玉をしだいに有利な建て玉にもっていくための売買テクニックです(D章参照)。

《リアル24》には「検証」「最適パラメータ」「最適売買ルール」などの高度で便利なツールがありますが、これに溺れてはいけません。検証するのは、最低でもこれだけの成績が出る、ということを確かめるためです。最適化するのは、自分が気づいていなかったことを知るためです。検証あるいは最適化した条件表や売買ルールに従って、忠実に売買をすればよいというものではありません。

磨かなければならないのは、@自身の相場感とA売買のしかた(応用)です。相場感については、どういう根拠から→そう予想し→その結果はどうだったのか→正しい予想のためには何が不足していたのか、を意識していなければ身につきません。売買のしかたについては、特に利食い幅をどう予定するかが重要です。これもやはり毎日意識していないと、気分で決定する(勝っているときは大きな利幅を思い、負けているときはわずかの利幅を思う)ことになります。

上表で、No.103「プレゼント」に@〜D章で述べたことを応用したとき、どのように成績が向上するのかをまとめましたが、「日によって利食い幅を変更する」(B章)の成績は入っていません。これは人により利食い幅の決定が異なるために検証不能だからです。 日によって適当な利食い幅を決めることができるようになれば、「時間切れ」や「15:00に決済」になるまでに、多くの利食いができます。

また「追加の仕掛け」(A章)の成績を調べることも困難です。この2つを「売買のしかた(応用)」に加えると、上表のDをはるかに超える成績になるはずです。ご研鑽ください。

取引No. 仕掛日 売買 株価 決済日 株価 損益 累計損益
30 08/06/23 売り 13850円 08/06/24 13790円 +60円 +1800円
31 08/06/24 売り 13790円 08/06/24 13830円 -40円 +1760円
32 08/06/24 売り 13820円 08/06/24 13815円 +5円 +1765円
33 08/06/24 売り 13880円 08/06/24 13840円 +40円 +1805円
34 08/06/25 売り 13780円 08/06/25 13730円 +50円 +1855円
35 08/06/25 売り 13820円 08/06/27 13500円 +320円 +2175円
36 08/06/26 売り 13910円 08/06/26 13940円 -30円 +2145円
37 08/06/26 売り 13950円 08/06/26 13920円 +30円 +2175円
38 08/06/27 売り 13550円 08/06/27 13530円 +20円 +2195円
39 08/06/30 売り 13570円 08/06/30 13500円 +70円 +2265円
40 08/07/01 売り 13580円 08/07/01 13495円 +85円 +2350円
合計 No.1〜No.40 - 累計利益
累計損失
+2910円
-560円
34勝6敗 勝率
85.0%
PF
5.19倍
最後に冒頭に掲げた売買譜No.29の続き(No.30〜No.40)を掲載して、最初で最後の売買譜つきのアドバイスを終わります。

なお日足ベースの相場感については、2008年8月に先物講座 No.5 私の相場感の根拠を掲載しているので参照して下さい。


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株式会社 東研ソフト

執筆:坂本 正治